7. 恋心
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芝村: | ペンギンは重い足取りで歩いてきた |
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緋璃: | (なんて言ったらいいのか分からない顔でちょっと見上げてから) 「……ありがとうございます」 |
緋璃: | えーと、まだ怪我しているんでしょうか? |
芝村: | ええ コートも破けている |
緋璃: | 「お世話になってばかりですね、私。 南天は私の友人なんです。 ついさっき*3も。 ……すみません」 |
ペンギン: | 「南天は俺の知り合いでもある」 |
緋璃: | さっきの流れで医療品もってちゃダメですか? 治療行為は出来ませんけど気休めくらい |
芝村: | もっててもいい |
緋璃: | 「そうでしたか。 ええと、あんまり上手くないですが、手当てしてもいいですか?」 |
緋璃: | 「繕い物くらいならできますし」>コート指して |
ペンギン: | 「いや、どうせ、捨てるところだった」 |
緋璃: | 「では傷薬くらい使わせてくださいな」(といって近づきます |
芝村: | ペンギンは嫌がらない |
緋璃: | そっと手当てします |
緋璃: | そこそこ器用あるのでそれなりに手際いいと思います |
芝村: | ペンギンは顔をしかめている。 |
芝村: | 痛いせいかどうかは分からない。 |
ペンギン: | 「終わったか」 |
緋璃: | 「はい、おしまいです。本職じゃなくて真似事ですけど」 |
緋璃: | 「こんな状況で呼び出してすみません」 |
ペンギン: | 「いや、医者の世話にはもうならないつもりだった。だからいい」 |
緋璃: | 「じゃあ今度、藤崎さんにでも教わってきます。手当ての仕方」 |
芝村: | ペンギンは古いライター*4を出した。 煙草を吸った。 |
緋璃: | (ちょっとだけそっちをみて一瞬落ち込みます |
ペンギン: | 「俺が使うライターはこれで最後だ。2個は多すぎる」 |
ペンギン: | 「これが壊れたら喫煙でもするさ」 |
緋璃: | 「お酒の方が良かったですかね。 何を贈ったらいいのか良く分からなくて」 |
緋璃: | ちなみにそのライターに血の跡とかあるかわかります? |
芝村: | ペンギンは少しよれた薔薇を一輪出した。 貴方に出した。 |
緋璃: | にっこり笑って受け取ります |
緋璃: | 「男の人から花を貰うのは、初めてです。ありがとう」 |
ペンギン: | 「男じゃない。ペンギンだ」 「はじめては大事にとっておけ」 |
緋璃: | 「ペンギンだって性別ありますよ?」 |
緋璃: | 「でも、ペンギンさんから貰うのも初めてですね」 |
芝村: | ペンギンは少しだけ微笑んだ |
緋璃: | それを見て嬉しそうに笑います |
緋璃: | 「言いたいことは色々あったんです。 ……そうしているうちに、なんだか本当に色々、ありすぎて」 |
緋璃: | 「……伝えたいことは、一つです」 |
ペンギン: | 「このライターがつかなくなったら死ぬよ」 |
ペンギン: | 「言わんでいい」 |
緋璃: | 「いーえ、どうせ知ってるんでしょうけど」 |
緋璃: | 「言葉にするのが大切なことだって、きっとあるから」 (逃げそうなら捕まえます |
芝村: | ペンギンは是空とは違うね ただ悲しそうなだけだ。 |
緋璃: | 言葉に詰まったままペンギンを見てちょっとだけ近づきます |
芝村: | ペンギンは動かない |
緋璃: | 「死ぬとか、そんな当たり前のことのように言わないでください」 「今年も、来年も、再来年の今日*5も。私は貴方のそばにいたい」 「そんなに長くは生きられないかもしれないけど、でも。私は私である限り、貴方のそばにいたいんです――どうか」 一気に言い切って、顔をペンギンのすぐそばに近づけます |
緋璃: | 様子、見れます? |
芝村: | ペンギンは無表情だ。 |
ペンギン: | 「今日子がきてるな」*6 |
芝村: | ペンギンは笑った。 |
ペンギン: | 「茶でも飲むか。健康的なやつを」 |
緋璃: | 「……返事、まだです(じと目」 |
ペンギン: | 「そばにいるのに、許可がいるのか?」 |
緋璃: | 「……分かってるくせに。何もかも」(小声で |
ペンギン: | 「それと」 |
ペンギン: | 「お前はまだまだだ」 |
芝村: | ペンギンは少しだけ楽しそうに歩いた。 |
緋璃: | 「ええ、どうせミスの連発ですよっ」 「……次は、やりません」(悔しそうに |
緋璃: | ついていきます |
ペンギン: | 「人間はミスをする生き物だ。それを悔しがっていたら生きていけない」 |
緋璃: | 「悔しがるから学習するんだと思います」 |
緋璃: | 「明日の私はきっと今日の私より、ちょっとだけ前に進むでしょう。明後日は、もっと」 |
緋璃: | 「少なくとも次は、名前を呼ばれたことに気を取られて取るべき策を誤ったりしない」 |
ペンギン: | 「俺はいつも悔しがってるが学んでない」 |
ペンギン: | 「いつも、どう断ればいいのか、考えている」 |
緋璃: | 「断らなければいいんだと思います」(苦笑して |
ペンギン: | 「で、誰に名前呼ばれたんだ」 |
緋璃: | 「…………馬鹿」(ぼそっと |
緋璃: | ええと、一応、さっきみたペンギンと別人だったりしないですよね? |
芝村: | まあ、同じだろうね |
緋璃: | ですよねー(苦笑 |
芝村: | 偽物なら、そこであわせてくる |
芝村: | 本気で気付いてなさそうだ |
緋璃: | 「……貴方が言ったんじゃないですか。緋璃って。初めて」(小声で |
緋璃: | (本当は文句じゃなくて、単にお礼が言いたかったんだけどな……) |
ペンギン: | 「……それは多分、聞き間違いだ」 |
緋璃: | ペンギンの目をじっと見ます。怒りもせず泣きもせず |
ペンギン: | 「……無意識にファーストネームを呼んだのは、悪かった」 |
ペンギン: | 「次からは気をつける」 |
緋璃: | 「……ばかっ」 |
緋璃: | 「悪いのは、そこで謝ることだけですっ」 |
緋璃: | 「私は、嬉しかったのっ」 |
緋璃: | えーと、この分からずや、抱きしめていいでしょうか。*7傷にさわらない程度に |
芝村: | 抱きしめていいですよ |
緋璃: | ではそっと抱きしめます 「何度言ったら、分かってくれるんですか。 逃げないで、くれるんですか」 |
芝村: | 日本刀が飛んできた。 |
緋璃: | 避けます。ペンギン連れて |
芝村: | ペンギンは貴方を押して避けると、微笑んで消えた。 |
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- 評価変動
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累計評価値:
ハードボイルドペンギン +4 +4
滋賀小助 +2 +2
是空とおる +1 +1